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最高裁判所第一小法廷 昭和46年(オ)111号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人石田市郎の上告理由について。

本件各約束手形は、上告人石橋食品工業株式会社が商品売買代金支払いのために振り出したいわゆる商業手形であつて、被上告人は、上告人株式会社永松商店の代表者上告人永松亀一からその現金化を依頼され、原判示の割引料名義の金額を差し引いた金員を交付して、右手形の裏書譲渡を受けたものであり、右手形の授受は手形自体の価値に重点を置いてなされたものであり、手形以外に借用証書の交付や担保の提出はなされなかつたなど、原審の確定した事実関係のもとにおいては、上告人株式会社永松商店と被上告人との間の本件各約束手形の授受はいわゆる手形の割引として手形の売買たる実質を有し、前記金員の交付は手形の売買代金の授受にあたるものであつて、これについては利息制限法の適用がないとした原審の認定判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 大隅健一郎 裁判官 藤林益三 裁判官 下田武三 裁判官 岸 盛一 裁判官 岸上康夫)

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